蓬莱庵
東方紅楼夢10頒布作品











積み上げた言の葉を、今ほどきましょう









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すてきな表紙絵:遠藤織さん

『月を指せば、君を認む』

もこけねちゅっちゅ合同本




●○●○●○
 

——ふと夜中に誰もいない庭へ出た。その日の月は綺麗だった。何千回死んで見た月かわからないが、とても綺麗な月だった。

蟲の鳴く庭先で一人私は、空を見上げていた。私の隣にはいつの間にか君がいて、私の震える手をそっと手を握った。

ただその手が暖くて、意味もなく泣きそうになってしまった。

「どうした。お前がなくなんて珍しいじゃないか」

そういうと静かに笑って君は私から溢れた感情を舌で舐めとった。

それが君にとっての「特別な存在」に私がなろうとしたきっかけだった。

 

——ああ、気づかなかった。

 

 

——こんなにも生きていることは素晴らしいんだって。


○●○●○●







【マンガ・イラスト】

遠藤織さん

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辻一穂さん

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西口さん

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イサギさん

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【小説】


-ノスタルジア-

どことなく寂しげな慧音の声に、妹紅はハッとして横を向く。それを見計らったように、慧音が妹紅の瞳をじっと見た。深く吸い込まれそうな瞳だった。



久我暁さん

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-慧音先生が昔語りする話-

「上白沢先生、教師の仕事にはもう慣れましたか?」
寺子屋の廊下。慧音の教育係を兼任している上長の先生から問われて、慧音は恥ずかしそうに頭をかいた。



深海ねころじーさん

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寺子屋で教師をしている時のように、相手に伝わりやすいよう諭す慧音。 しかし妹紅から返ってきたのは、安堵の声ではなく、悲痛な叫びだった。



ルミナスさん

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-記憶色-

――――何ってことは無い。
本当にごくありふれた幸せな夢。
だけどそれは私にとっては叶わない夢だと知っている。
だって――夢の終わりがいつか来るって知っているから。




ツキヒガン

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8人の書き手による妹紅と慧音のいちゃいちゃワールドをお楽しみください。


10月12日東方紅楼夢10
サークルスペースD-28a「蓬莱庵」
頒布予定価格400円